過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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366:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/26(日) 20:37:01.43 ID:FDyGJ6A0
こんにちは、お一人様でしょうか。
そんな定型的な挨拶をしてきたのは、以前麦野と此処を訪れたときにも自分たちに応じた女の店員だった。
一方通行の見た目が特異的だからか、彼と一緒に来た常連らしき麦野のあの性格故か、それとも此処で働く番外個体の知り合いだからか。
理由は幾つか考えられるが、とにかくその店員は一方通行のことを覚えていたらしい。
「あ、この前はどうもー」
などと友好的に接してくるが、慣れていない一方通行はどうしても不愛想になってしまう。
「……アイツがケーキ予約してたと思うンだが」
「あぁ、ミサカさんですね。少々お待ち下さい」
店員がそう言って店の奥の方へ駆けていく。
店内を見渡しながら、しかし周りの風景など目に入らずに、頭の中ではぐるぐると。
『……俺がどンな顔しよォがオマエに関係ねェだろ』
『やだよ。ミサカのせいであなたにそんな顔させたくないし』
一方通行と番外個体のいつかのやりとり。
××さん、例の人、あの男。
呼び方が違っても、更には数分前の様に名前が挙がらなくたって。
番外個体がかつて惚れ、そんな彼女をふったその男の話題になったときに顔を歪ませるのは、無性に苛立ってしまうのは。
自然な流れというか、無意識だった。
けれど無意識でもそれは確実に、自分のせいで一方通行にそんな顔をさせたくないと言った、言ってくれた少女をえぐっていたに違いない。
「クソッたれが」
だから、自分は早く。
番外個体の元に戻って。
ケーキを取りに行った店員が待ち遠しくて彼女が駆けていった方を見たとき、ふと目があったのは――
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