過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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468:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/01/07(金) 21:43:54.56 ID:Q2CJXww0
――身体も頭も何もかもが重くて、沈み込むようなぼやけた感覚。
そのまま身体を委ねてしまおうか。
そう思って瞼を閉じたとき、がちゃりと。玄関の鍵が開く音が、やけに鮮明に聞こえてきた。
一方通行が帰ってきた。
鈍重な頭は、それでいてその事実を正確に伝達する。
どくどくと、番外個体の心臓が先程の行為とは違った意味で激しく脈打った。いやな緊張感。脱力した身体が強張る。
一方通行の足音は番外個体の部屋を通り過ぎ、リビングに彼女が居ないことに気付いたのか、再びこちらへと向かってきている。
「番外個体? 居ンのか?」
「ん、……ちょっと、寝てた」
一方通行がドアを隔てた直ぐそこに居る。わずか数メートルの距離に、先程まで脳内で自分を犯していたその人が。
未だテンポ良く脈打つ心臓と不快な緊張感のなか、出た声は本当に寝起きのような、気の抜けた声だった。
一方通行はそんな番外個体の言葉をそのまま鵜呑みにしたのか、二言三言、言葉を交わすと立ち去っていく。
「……タイミングが悪いんだっつの」
そんな彼に毒突きながら身体を起こそうとして、
「……力、全然入んなぁ……」
倦怠感が身体中にまとわりつき、起き上がることすらままならない。
喉も渇いたし、シャワーを浴びて気持ちの悪い汗や下着の中まで全部洗い流したいのに、脱力しきった身体は酷く重かった。
シーツの中に手を突っ込んでみると、熱を帯びたそこは案の定ぐちょぐちょに濡れている。
数分前はそれだけておかしくなって蕩けてしまいそうだったそれも、今では不快感しか生み出さない。
顔を歪めて、吐き捨てる。
「ありえねー……。何やってんだか、このミサカは」
後に残るのは、嫌悪感。
指先のぬめった感触に、ぞわりと鳥肌がたった。
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