過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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478:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/01/07(金) 22:15:47.76 ID:Q2CJXww0
「第一位さん!」
講演会を終えて学校を出ようとしたとき、あの甘ったるい声に呼び止められた。番外個体に連絡しておこうと開きかけた携帯を閉じる。
「ちょ、っと、ちょっと待って、くださいぃ」
ぜえぜえと息を切らす少女は、数メートル後ろから膝に手をついてこちらを見上げていた。
一方通行が立ち止まって後ろを振り返ったのをみると、よたよたと駆けてくる。
厄介なのに掴まった、と一方通行は密かに舌打ちするも、少女は気付かないようでふにゃりとした笑みを浮かべていた。
「あの、あの、私、初春飾利って、言います、ふはぁ、よいしょっと」
低い気温の中、初春と名乗った少女の顔は上気していて、暑そうにぱたぱたと制服の襟元で風を送り込んでいる。一方通行の前まで来ると、重そうに鞄を持ち直した。
「えへ、ごめんなさい。みっともないってよく言われるんですけど、佐天さんみたいにスカートバサバサやるよりはマシですよね」
「……何か用か」
「えーっと、以前チンピラみたいな人から助けて貰ったんですけど……、あれってあなたですよね?」
「……、知らねェなァ」
白々しくとぼける一方通行。
あからさまに苛立った雰囲気もついでに醸し出されていて、しかし初春は怯むことを知らないかのように。
「いーえ、絶対そうですよー。あの時は、本当に有り難う御座いました!」
深々と、頭を下げた。
「あの時は、私何にも出来なくて、怖くて……。あ、あの、今日の講演会もすっごくためになりました!」
「……あっそォ」
「あ、否定しないって事はやっぱりあの時の人ですかぁ」
「うるせェよクソガキが。つーか学校は?」
「午前中で終わりです。うちのクラスは帰りの学活が短いんで、終わってすぐ飛び出してきちゃいました」
えへへ、と笑う初春に、そこまでして礼が言いたかったのだろうかと一方通行は半ば呆れる。
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