過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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640: ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/02/06(日) 22:13:56.79 ID:3wCZGTLdo

「今日は昨日より寒くねェなァ」

「このまま春になるのかねぇ。……あ、ねこ」


『ダイエットの為のウォーキング』と称した『お散歩』。
ここ最近、昼間だったり夜中だったりと、時間こそバラバラだが二人はこうして並んで歩くことが日課になりつつあった。
これが結構面白くて、キャンピングカーを改造したような屋台で食べれるクレープやコーヒーが密かに楽しみだったりする。
番外個体は生クリームとかチョコソースとかそういった単語に非常に弱く、頻繁に釣られているのだが、
それではダイエットの意味が……、というツッコミは野暮というものだ。


頬にクリームを付けて美味しそうにクレープを囓る番外個体は幼げで。
しかし時々こちらを見上げる表情は何処か大人びた女の顔だったりする。
そのギャップに一々一方通行の心臓は大きく反応してしまうのだが、毎回毎回その調子では早死にしてしまいそうだ。


「おい、クリーム付いてンぞ」

「ふえ? ど、どこ?」


動揺する番外個体を見て呆れたように溜息をつくと、紙ナプキンで頬を拭いてやる。
子供みたいなその扱いが恥ずかしかったのか、彼女は僅かに顔を赤らめた。
そんな二人は周りから微笑ましいカップルみたいに見られていたりするのだが、当の本人達は知る由もない。


「そういえば来週かぁ、劇場版ゲコ太の大冒険が公開されるの」


食べ終えたクレープの包み紙を小さく畳みながら、番外個体が上を見上げて呟く。
一方通行がその視線の先を追うと、学園都市でも1、2を争う大規模なシアターの壁面に設置された画面で番外個体の言う映画が宣伝されていた。
どう見ても子供向けの2本立てアニメなのだが、彼女の『お姉様』に当たる御坂美琴を始めとした『ミサカ』と名の付く少女達は、これの熱狂的なファンだったりする。


「ケロヨン可愛いよう。でもやっぱりゲコ太がこのミサカ的には一番好きなんだよねぇ」

「どれも同じに見えるけどな。つーかいい加減卒業した方良いンじゃねェの?」

「……、あなた、今すっごく聞き捨てならないことを言ったけれど。ていうかあなたも一回観るべきだよ。
 ほら、あれがケロヨンでさぁ、今回の劇場版はゲコ太が――」


それから少しの間番外個体が熱弁をふるったのだが、何しろ一方通行はゲコ太とか言われてもさっぱりなのだ。
よく分からないまま彼女の興味は別のものに移って、なんだか忙しいヤツだなと思っていながら歩いていく。

学生達の待ち合わせの際によく利用される広場を通りかかった時、二人の目に偶然留まったのは、十数人ほどの小さな人集りだった。



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