過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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646:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/02/06(日) 22:27:58.81 ID:3wCZGTLdo
マンションの近く、贔屓にしているとあるスーパー。
カゴとエコバックを手にし、陳列棚に並べられた商品を眺め、目当ての商品は手にとって品質を見極める。
パスタの太さは無難に1.7o。今は隣にいない少女が所望したクリームソースは、レトルトでなく生クリームを使った濃厚なものにすることにした。
料理はしてみると中々奥が深いと、最近一方通行は考えるようになった。
レシピ、分量を忠実に再現しただけでは完璧すぎて、何かに欠けてしまう。
だから研究、アレンジし、改良を重ねていく。自分の好き嫌いだけでなく、生活の中で自然と理解した少女の好みまで考慮する。
そんな過程と、主に番外個体なのだが、食べた者が零す感想を聞くという、所謂結果が面白いのだ。
「……、トマトを厭らしい目つきで視姦している最中に申し訳ないんだけど」
「うお!?」
「これも一緒に買ってくんないかにゃーん?」
一方通行の返事を待たずに、菓子コーナーから帰ってきた番外個体がカゴに放り込んだのは食玩付きのラムネ菓子だ。
その食玩というのは勿論のこと、緑のあの生き物をモチーフとしたストラップで、
「……ガキだなァ食玩に釣られるなンざァ……」
「んなぁっ!? ト、トマトに劣情を催してるあなたに言われたって痛くも痒くもねーし! ミサカがガキならあなたは変態だ!」
「してねェよ! 誤解を招くよォな発言してンじゃねェ!」
しっかりと番外個体の発言を否定しつつ、手に取ったカクテルトマトをあった場所に戻し、代わりに隣にあったごく普通のトマトをカゴに入れた。
食玩付き菓子は妙に値段が高いのだ。カクテルトマトを諦め、ワンランク下げた比較的安価なものにすることで倹約する。
それから朝食のブレッドをきらしていたことを思い出し、二人並んで最近ブームになっている商品をカゴへ。
「っと、こンなモンかァ? 卵……、はまだあったはずだな」
「冷蔵庫に3つ。……ねぇ、ミサカ達ってやっぱりさぁ、こうしてると周りからは付き合ってる様に見えるのかねぇ?」
ふと、番外個体が疑問を口にする。
今まで意識したことはなかったものの、今日勘違いされてからその可能性を初めて考慮しだしたのだ。
あまりにも自然に暮らしていたから気付かなかっただけで、実はすれ違った時、外食したとき。
自分たちはそのように捉えられていたのかもしれない。
「ドンパチやった仲なのにね、ひゃはは」
本当に、全く。
人生とは何が起きるか全然分かったものじゃない。
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