過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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753: ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/02/21(月) 23:00:53.17 ID:drd2jubno


「……認めちゃえば少しは楽になるんじゃない?」

「……、え?」


だから、やっとオーブンに入れたチーズケーキが焼けるのを心待ちにしていたとき、麦野にそう言われたのは驚いた。

楽になる。

麦野がそう言うということは、外の目すら誤魔化せなかったということだろうか。
だとしたら自分に女優の素質はないな、と場違いなことが頭に浮かぶ。


「分かんないなあ。認める? 何を?」


誤魔化して、装って。

笑ってみる。
ここ数ヶ月で自然な笑顔を浮かべられるようになったはずだったのに。一方通行からも大分変わったと言われた筈なのに。
……久しぶりに、人を不快にする歪んだものになっていたかもしれない。


「別にミサカは何にも――。楽になる、認める以前に心当たりが全然ないし」

「そのわりには随分と強張った顔していたけどね。もう少し自分に素直になれば良いのに。そんなに気になるの? ……第一位のこと」


第一位。白く白く、どこまでも真っ白な。
暗闇の中で傷ついて、それでも自分達を守ってくれる。
そんな男のことを考えると、胸の辺りがまた、ぎゅうぎゅうと締め付けられるのだ。




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