過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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813: ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/03/05(土) 01:01:15.08 ID:kgKpUzPQo




――どうしてこんなにミサカ好みの良い匂いがするんだろう。


番外個体が一方通行のベッドの上に横になったとき、一番に浮かんだのがそれだった。
甘くはない。けれど優しい香り。落ち着く香り。
それでいて、男らしいといえば何だか獣臭さを感じるかもしれないが、官能的な色っぽい香り。

くらくらする。
媚薬を間違って口にしてしまったかの様に、身体の内側から侵食されていく。
眠気とその不思議な作用が混じりあって、意識は曖昧なものへ。
身体は完全に寝ているのに、頭は半分だけ、ぼんやりと覚めていた。


――ぺちぺちと、おでこに軽い衝撃。
しかし完全な覚醒を促すには至らず、ぼんやりした頭の中に、


「……ったく――キみて――ツ」


朧気に一方通行の声が響いた。

ああ、そこに居るのだと。
一方通行。変わった名前。けれどその響きは子守唄みたいで、


「あくせら……れぇ、た」

「ン? つー……はこっちで寝るって――かよ」


何を言っているのかよく分からない。
頭はこの状況を、どうやら夢であると判断したらしい。
途切れ途切れにしか聞こえてこないのも夢だから仕方がないかと、番外個体は妙に納得していた。


そして少女は、夢の中だけで素直になれる。
まるで覚醒時とは別人のように。



好きだ。
やっぱりこの人が好きで、好きで、大好きで。



不意に。ふわりと、身体の上に微かな重みと暖かさを感じた。
……夢じゃない。あの人は確かに直ぐそばにいて、確かにそれは現実で、なのに。
まだ、依然として意識はぼやけたまま、



「すきだよ」



――あれ。

このミサかは今、何を言った?



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