過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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934:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/03/18(金) 13:56:07.03 ID:SMLw9DYPo
「ふ、にゃあ……」
その瞬間。 、、、
好きだと告げられたその瞬間、番外個体は溶けた。
座っていたベッドの上にもう一度転がり、毛布に顔を埋めて悶え出す。
じたばたと振り回される足がさりげなく男性の急所を蹴り上げたりしたのだが、そんなことに気が付くような余裕はないらしい。
予想外の襲撃に悶絶する一方通行を差し置いて、
「ほほほ本気で言ってんの!? わけが分からないよ。うん、マジで」
「な……、ンだとコラァ! オ、オマエ、今更ドッキリでしたァとか言われても知らねェからな!」
血が乱れた高波を立てて一方通行の心臓をどくどくと出入りする。
暑い、と感じた。
暖房は消したはずなのにそう感じるのは、余程自分の身体が火照っているからだろうか。
その熱さの中で毛布に顔を埋める番外個体の根性は見上げたものだ。
紅潮を誤魔化すように呆れた表情を作り、平静を装う。
本当は目覚めがてらに番外個体を視界に捉えた時からずっと、心拍数は上がりっぱなしなのだが。
「オイ、暑くねェのか」
「……とう?」
「ン?」
「本当に? ミサカのこと、その、……すき、っていうの。信じても、良いのかな」
心臓が跳ねた。
一際大きく跳躍し、正に『射抜かれた』。
潤んだ瞳の上目遣いに、ほんのりピンクの頬。不安げに毛布を抓まむその姿は、
(ちくしょう、何だよガキみてェに小さくなりやがって。……可愛いじゃねェかクソッたれ)
破壊力抜群、一方通行の心を見事に抉り取ったのだった。
「ンなこと、冗談で言うと思ってンのか」
「だ、だって……ふえぇ」
「泣くな泣くな。ったく、オマエは何歳児だっつの」
「うるさい。……泣いて、ないもん。あ、あなただって顔赤いし」
「あァ!? し、仕方ねェだろ。あれだ、暑いンだよこの――」
言い訳がましい一方通行の言葉が途切れる。
番外個体に抱きつかれたと気付き、一瞬心臓が止まるまで数秒かかった。
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