過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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938:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/03/18(金) 14:00:57.95 ID:SMLw9DYPo
どうやら番外個体の弱点の露呈は、一方通行の嗜虐心に火を点けてしまったらしい。
そのことを悟った番外個体は焦ったように身を捩るも、
「やめ……、ひぁあっ!?」
ちろり、と。
耳の輪郭をなぞるような、温度を有するこそばゆい刺激。
頭の中で微かに、それでいて鮮明に響く水音。
「な、何して……っ、ぅあ、」
何を、されている?
「あ、やめ……、くすぐった、ぁっ、ん、」
身体が熱い。
体温が馬鹿みたいに上昇していくのが分かる。
ここでやっと、耳を舐められていることを理解した。
何をされているかが分かってしまった今、羞恥心が更に何倍にもなって沸き上がってくる。
「もう、やだあ……っ」
恥ずかしい。
たかが耳を舐められるだけでこんなに乱れてしまうなんて。
一方通行にも当て嵌まることだが、完全無菌培養、つまり『外部刺激がないまま』ここまで大きくなった番外個体は、他人に比べて敏感だ。
それに加え、元からの体質もあるかもしれない。
ともかく、彼女はどうやら『感じやすい』ようで、悔しいことながら、現に身体に走る刺激に支配されつつあった。
このままでは理性がぶっ飛んでしまいかねない。
そう危惧しての「もう嫌だ」という意思表示だったのだが、
「オイオイ、もォギブですかァ? 全然平気だなンてどの口が言ったンだっけかなァ。
まァ、平気っつゥ割には随分とはしたねェ声洩らしてるしィ? 可笑しいとは思ってたンだけどよォ」
「うるさ、い。っ、」
楽しそうに、楽しそうに。一方通行は遊戯を止めることをしない。
そのうち唐突に首筋を舐め上げられて、番外個体はびくりと大仰に身体を反応させた。
それが彼の思惑通りだったようで、悪戯に成功した子供のように、無邪気な残酷さを含んだ笑みを浮かべる。
「ハッ、ちと敏感すぎンじねェの?」
「あなたに、んっ、言われたくない」
そんな男の背中に爪を立てた。
段々と足に力が入らなくなってきて、けれど大人しく身体を預けるのは何だか癪で。
番外個体なりのせめてもの抵抗だったのだが、意味を成さない。
「……良い度胸じゃねェか」
熱を帯びた吐息を感じた。
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