過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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941: ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/03/18(金) 14:04:38.91 ID:SMLw9DYPo

彼女が吐露した心中に、一方通行は驚いていた。
まさかこうもストレートな言葉をぶつけられるとは思っていなかった。


『あなたが欲しい』


そう言ってくれた少女を前にして居た堪れなくなり、ブラウンの髪を優しく撫でる。
艶やかなそれは微かなシャンプーの甘い香りを伴いながら、一方通行の指の間を滑っていく。
彼の肩の辺りに顔を埋める番外個体は泣き出してしまっていて、少し苛めすぎたかと今更ながら彼に反省を促した。
普段活発で、得意分野が一方通行を困らせることという番外個体。
そんな彼女が控え目にこちらを気にしてきたり、弱みを露にしたりすると、どうも嗜虐的な部分が疼いてしまうのは悪い癖だ。
そういえばクリスマス前日にも、言葉で苛めてやったら泣かれてしまったことを思い出す。

なるべく声を漏らさないように堪えている番外個体の背中を擦りながら、


「……ふ、うぇ……」

「ン、よく言えました。ほら、顔上げてみろ」

「……んぇ、ひっく、」

「人の着てるモンに拭うのかよ……」


一方通行が着ているスエットに、ごしごしと主に目元を擦り付ける番外個体。
それから怖ず怖ずといった様子で、ゆっくりと顔を上げた。
一方通行より頭ひとつ分ほど背の低い番外個体は、軽く彼を見上げる形になる。
充血し、濡れた瞳の上目遣いはどこか色っぽく、彼の心臓を鷲掴みにした。


「……瞼、腫れンぞ。つーか案外すぐ泣くのな、オマエ」

「うるさい。あなたの、せいだ」


――このミサカがおかしくなっちゃうのも、全部。


そう付け足して、番外個体は口を噤む。
静まり返った部屋の中、心臓の音だけは妙にはっきりとそれぞれの頭に響いてくる。
至近距離にいる相手に聞かれるのは何だか気恥ずかしくて、聞こえていないだろうかと気掛かりだ。



「……待ってた」



その中で、呟いたのはどちらだったか。




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