過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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99:1 ◆3vMMlAilaQ
2010/11/28(日) 22:01:04.82 ID:GMbi0ss0
深くて不快な底なしの闇に沈みかけたとき、それを阻んだのは麦野だった。
「我慢する事なんて、ないでしょうが」
黙り込んだ一方通行に、麦野が語りかける。
落ち着いて、ゆっくりと、まるで子供をあやすかの様に。
「……気付いてたんでしょ? それでいて、自分の気持ちを誤魔化して、殺していたんでしょ?」
一方通行が短く息を吐く音が聞こえた。
忌々しげに舌打ちをする姿がどこか弱々しい。
「……それで、それで俺にどォしろってンだよ。番外個体にとって重荷にしかならない『ソレ』をどォしろと?」
小さく小さく、独り言の様に。
それは、第一位が見せた弱みで、第一位が求めた救いだった。
自分の中にあるドロドロした感情の中に飲み込まれるのが嫌で、それなのに、麦野の言葉を否定することができない。
情けないと思いつつも、しかし溢れてくるソレを全て押し込めることは不可能で、ただ何もできないことを、何もしない方が互いのためであるということを主張する。
その言葉が、番外個体に対する感情が何であるかを浮き彫りにしていることさえ気付かずに。
「その独りよがりな感情を押しつけて何になる? あの馬鹿のことだ、結局はそれを無理してでも受け入れよォとするに決まってるだろォが」
彼女にそれをさせるのは酷だろうと一方通行は思う。
番外個体は口を開けば憎まれ口ばかり叩く様なやつだけど、それでも彼女はきっと、一方通行を拒まない。
だからこそ、彼女に甘えてはいけないのだ。
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