過去ログ - 打ち止め「あなたのYシャツ貸して欲しいな!ってミサカはミサカは…」一方「あァ?」
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940:最終話 『部屋ととある二人とミサカ』[saga]
2011/02/20(日) 23:16:10.88 ID:gngUMmaQ0



「まァ、見る影ねェほどグチャグチャになっても……――――――――許せ」



そう告げた一方通行は、だが直ぐには男に手を掛けなかった。
こンなクソの相手してる暇があンなら、まず打ち止めの治療をすべきだ。
この時、まだ彼は数年間の間に落ち着きを見せた理知的で優秀な思考回路を正常に機能させていた。


足元に倒れる、何があったかは知らないが現在の自分と同じ程の少女。
光の世界に生きるには似つかわしい、所々血がこびり付いた短銃を必死に握り締める少女に一方通行は眉根を寄せる。
少女からは、火薬の匂いが自身の存在を主張するかのように漂っていた。
左肩からは幾多の命の滴が流れ落ち、少女の温かな体温をゆっくりと奪ってゆく。


無論、打ち止めだってあんな男の為に死んでやるつもりなど無かった為、致命傷は避けている。
銃器を扱う自分の腕前を徹底的に考察し、相手に気取られないようマリア像に血液を付着させるという条件の下
最も軽傷で済む箇所を選んだつもりだ。
しかしそれでも人を殺す為に造られた武器は確かに少女の意識と体力を奪い、何より―――――――『少年』の心を狂わせた。



「…………本当に、嗤っちまうわなァ。えェ?あのガキだけでも闇の中から連れ戻すっつってたのにコレたァ、本当。馬鹿みてェな話だよなァ」



口元を歪ませながら、打ち止めを治療するその手は止めず、ただ一方通行は嗤い続ける。
嘲笑うのは、馬鹿な自分だ。
戯言を吐いておきながら結局は少女に傷を負わせ、何より少女に人を殺す為の醜い道具を持たせ、
自分の所為で彼女を闇へと引き摺り込んでしまった。


これは、自分が招いた結果だ。
自分がヘマをしなければ、彼女がこんな場所まで来る事は無かった。
あの子供は光の世界に有るべき存在だ。誰よりも輝き誰よりも美しい世界で生きていくべき存在だ。
それなのに。それなのに、



「自分どころか結局ガキだって連れ戻せてねェ。
 いや、一人抜け出ていた所を俺がまた引き擦り込んじまったって所か………本当に、俺は変わらねェ」



丁度良いじゃないか、ほらよく見てみろ一方通行。
姿形が変わった所でお前は何かが変わったか。違うだろう。この姿だったあの頃から、結局お前は変わっちゃいない。



「――――――――何処までも、クソなままだ」






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