191:泥源氏 ◆88arEec0.g[sage]
2010/12/21(火) 00:29:18.51 ID:Pdlg7fko
浜面も自分の風貌については認めるところなので、
別に今更気にすることでもなかったが、便所については本気で就職を考えることにした。
そんな自分の人生について考え始めた浜面を横目に、
滝壺は持っていた皿をショチトルに近づける。
「な、何だそれは……?」
「ドリアンだよ。一緒に食べよ、しょちとる」
強い風の吹く屋外にもかかわらず漂う臭気。
思わず鼻をつまむショチトルに、滝壺はなおも勧める。
「うっ……ドリアン? これは、フルーツなのか?」
「うん、『ドリアン使い』が調理してくれたんだよ」
「なんか恥ずかしくなるからやめてくれ滝壺……」
「なるほど、そちらの男は『ドリアン使い』なのか。――――納得だな」
「納得するなよ!」
「ん……」
「どう? 美味しい……?」
最初は警戒し眺めていたショチトルも、好奇心には勝てなかったのか思い切って口に入れる。
すると、意外と美味しかったのか驚いたような顔をし、少しだけ頬が緩んだ。
「――ああ、美味しいな。ハマヅラには悪いことを言った。見事だ『ドリアン使い』」
「……どうも」
「だよね。まるでチーズケーキみたいで美味しいよね。
見た目と臭いで敬遠しがちだけど、ぜひとも食べて欲しい逸品だよ」
そう言いながらサムズアップする滝壺が誰に宣伝しているのかわからないが、
浜面としても激しく同意なので、何も言わずにサムズアップする。
そうして笑いあう二人を見て、ショチトルは二人が本当に恋人同士であることを確認し、
また心を通わせる姿に、自分の義兄とその仲間たちを思い出すのだった。
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