301:泥源氏 ◆88arEec0.g[sage]
2010/12/25(クリスマス) 21:19:55.37 ID:GcS1DpIo
こんなにしゃべる男だったのか、と少々ウンザリするものの、
この男がここにいる理由には不吉さしか感じない。
いっそ拷問でもしてはかせようか、と考えているとそれがわかったのか、
「まあ待て。
俺はただお前に忠告とお願いをしにきただけだ、殺されにきた訳じゃない」
「忠告もいらねェしお願いも聞く気がねェがな」
「忠告ぐらいは聞いておけ――――お前の大切なものに関することだ」
ピクッ、と一方通行のこめかみが動く。
その反応に満足したのか、杉谷は少し頬を緩めた。
「悪にはその確固たる理由が必要、というわけだな。
手助けをする気はなかったが、お前ほどの悪が簡単に散られても困る」
「……さっさと忠告とやらを言え」
「せっかちだな。――――お前、今自分が狙われていることに気づいているか」
「――――ハッ、ンなこと気づいているに決まっているだろォが」
「だろうな。だったらわかるだろう? お前の大切なものの危険性を」
「………」
当然だった。
彼にはわかりきったことだった。
それは常に命を狙われる彼にとっては決定事項と言ってもいい。
そうであっても、彼は逃げ回ることをやめたのだ。
「お前が大切なものの元に帰ってきたことを責めたいわけじゃない。
ただ覚悟しておけ――大切な人間が、自分のせいで死ぬという現実を」
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