308:泥源氏 ◆88arEec0.g[sage]
2010/12/25(クリスマス) 23:16:48.23 ID:GcS1DpIo
「一方通行っ!!」
彼を呼ぶ黄泉川は、この寒空の中でもいつも通りジャージ姿。
膝に手をのせ肩で荒い息をするものの、一方通行に向ける目は離さない。
彼はゆっくりと黄泉川に顔を向けると、笑いかけた。
ただでさえ赤かった彼女の顔が、真っ赤に染まる。
(こんな顔もできるの……?)
流し目と、その後見せた艶やかな笑顔。
――――美しかった。非現実的ですらある。
噴水の前の白い彼は、儚げにもかかわらず圧倒的な存在感。
赤い瞳の前に黄泉川は、動くことすらためらわれ。
恋人たちの集う幻想的なその場所で、二人はしばし見つめ合う。
「……走ってきたのか」
先に口を開いたのは一方通行だった。
「……? その手に持っているのは」
「あ、あぁこれか。マフラー、桔梗から借りてきたじゃん」
ぎこちなく、右手に持ったマフラーをかかげて見せる黄泉川。
そして強引に息を整えた彼女は、一方通行の元へ歩み寄る。
不思議そうな顔をする彼の首に、マフラーを巻いて。
必然的に、彼の顔が目の前。
彼女は鼓動が速くなるのを感じた。
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