461:泥源氏 ◆a15dGnhq8NbI
2011/01/16(日) 21:12:50.15 ID:BkXnBeqvo
滝壺は絹旗に呼び掛けるものの視線は窓の外を眺めたままで、
絹旗も顔を上げることはない。
「きぬはたは、今幸せ?」
「……っ! どうしたんですか? 超突然」
「私は幸せだよ」
「……そう、ですか。私も、まぁそれなりには――」
「うそ」
「え?」
否定されるとは思わなかった絹旗は、思わず顔を上げる。
そこには、真剣な滝壺の顔、透き通った瞳が、
絹旗を見透かすように見つめていた。
「きぬはた、時々寂しそうな顔してるよ。
少なくとも、自分は幸せじゃないって思ってる」
「そ、そんなこと……」
否定しようとするものの、絹旗の言葉に力はなかった。
――――事実だったから。
『アイテム』、それは絹旗や滝壺が所属していた暗部の組織である。
他の二人、麦野とフレンダが離脱を余儀無くされ、『アイテム』は実質解散済み。
滝壺にとって唯一の居場所でもあったが、それは絹旗も同じ。
そして浜面の隣という居場所を得た滝壺と違い、
『置き去り(チャイルドエラー)』である絹旗は家族もおらず、
事実、彼女は居場所を失っていたのだ。
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