49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/15(土) 00:05:13.18 ID:8c2NwONQo
青年「その町は、大きくなかったけど、小さくもなかった。いろんな人がいて、いろんなものがあった」
青年「となれば僕の描きたいという欲がうずくのは当然だろう? 僕は思う存分その欲を満たした」
青年「描いた絵はそこそこに売れたよ。いろんな人がいるだけあって、もの好きも多かったんだろうね」
少女「あなたの絵は上手ですから」
青年「……どうも。ともかく、僕はその町で描いて描いて、描き続けた。それまでもたくさん描いていたけど、あの町ではもっとたくさん書いたと思う。僕の基礎を形作ったのはあそこだろうね」
青年「とにかくいろんなものを描いたよ。人も物も景色も、それ以外のものも」
青年「でも、僕が一番好んで描いたのは、ある女性だった」
少女「……」
青年「きれいな人だったよ。とてもね。僕は彼女を描いている時が一番幸せだった」
青年「彼女は僕の絵を褒めてくれたよ。僕の絵は世界に通用するって。僕はうれしくなって、たくさんの絵を彼女に贈った。彼女は喜んでくれた。僕はそう思っていた」
少女「……?」
青年「……違ったんだ」
少女「え……」
青年「違ったんだよ」
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