過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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上条と真紅
◆zEntDqWLlc
[sage saga]
2010/07/26(月) 01:59:51.24 ID:46.faFwo
○
ドアを抜け、人が5人は通れそうな暗い通路を歩いてたどり着いた室内は、薄闇に包まれていた。
埃と淀んだ空気に満ちた部屋に入った足音は、ふたつ。
片方は薄闇の中でなお美しいオッドアイを持つ、蒼星石。
もう片方は陰鬱な雰囲気とは相反するような、明るい白と青のセーラー服だ。
学生用というよりも船員に近いその服をまとった少女は、ほとんど調度品のない部屋を横切り、窓際に置かれた椅子に腰掛けた。
「……間に合わない、わね」
言いながら脚を組むセーラー服。ショートカットの前髪から覗く切れ長の目は、冷静なように見えて、悔しげな光を湛えている。
「何がですか?」
セーラー服とか対照的に、ドアを入ったところで脚をとめた蒼星石が問うた。
「人形造りよ。どうやっても、やっぱり明日まではかかる。悔しいけれど今夜は予定通りに行くわ」
「……どういう意味ですか?」と、蒼星石。
こたえは返ってきたが、内容のすべてが把握しきれない。
人形造り、というところから考えて、あの『結界』で使うための人形を作っているようだが。
「……」
二度目の質問に、セーラー服はこたえない。返答代わりに舌打ちをして脚を組み替えた。
質問が煩わしいというよりも、返答内容自体が気に食わない、という感じである。
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