過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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333:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2010/07/26(月) 02:15:40.39 ID:46.faFwo

「……」

 結局どうすればいいのかよくわからず、上条は頬を掻き続けた。

 と、その拍子に、

「いてっ!」

 唐突に頬に痛みが走り、声を上げる上条。

「ど、どうしたのっ?」

 突然の声に驚いたのか、いつもとはややアクセントの異なる口調で、姫神が顔をあげ、問うた。

「あ、いやごめんなんでもないんだ。ちょっと傷を引っ掻いちまっただけで」

 『鳥籠』に蹴り飛ばされたところを、つい引っ掻いたようだ。

 ちらりと指を見るが、特に血がついているわけではない。薄くついた擦り傷に爪が引っ掛かっただけなのだろう。

「……怪我してるの?」

 心配と不安、そして哀しそうな声色と視線で姫神が問う。

「あー、その、うん。ちょっとだけど」

「……」

 上条の返事に、姫神の表情がさらに曇った。

 蹴られた場所がよかったのか、打ち身もなく、擦り傷としても目立たない。おまけに夜闇の中である。彼女が傷に気がつかなかった無理はない。

 だが姫神にしてみれば、彼の負傷に気が付けなかったことそのものがショックだった。

 戦えない自分。

 それならばせめて邪魔にならないように。そして怪我をしたのであれば、手当てくらいは出来るように。

 そう思っていたにも関わらず。

(……私に出来ることなんか。他のみんなに比べて。ずっと少ないのに)

 だが手当てどころか、負傷の有無にも気が付けなかったのである。


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