過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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上条と真紅
◆zEntDqWLlc
[sage saga]
2010/07/26(月) 02:27:43.78 ID:46.faFwo
「流石ねぇ、いまのを避けるなんて。褒めてあげてもいいわぁ」
そしてその予想を肯定するように、透き通るような女の声が響いた。
長剣の落下軌道の大元。
美琴のほぼ真上からだ。
「……何よアンタ」
美琴が怒りまじりの視線を、上向けた。
そこには、薄い雲ごしの月明かりを受けた、大きな翼のシルエットが浮かび上がっていた。
シルエットは優雅に一礼。長い銀髪がゆらりと動く様は美しかったが、それは完全に侮蔑と余裕のこもった、揶揄の一礼だ。
形式だけの礼をこなし、シルエット――――水銀燈が、ゆっくりと顔を上げる。
「はじめまして、超電磁砲。私の名前は水銀燈。ローゼンが創りし、誇り高き薔薇乙女の第1ドールよ」
水銀燈は大きく翼をはためかせ、無数の羽を撒き散らした。それらは重力に囚われることなく、水銀燈を護るかのように、渦を巻いて滞空する。
「本当は貴女のことなんかどうでもいいんだけれど……でもわたしの目的のために、ジャンクになってもらうわぁ」
ゆっくりと水平に持ち上げられた水銀燈の左腕。そこに紫色の光球が、螺旋を描いて絡み付く。
「……」
美琴は、水銀燈が何者なにかを問いもしない。
何の能力なのか――人形を動かす能力なのか、幻覚を見せるものなのか、はたまた変身できるような能力なのか――考えない。
だが相手の行動と、言葉。なによりこのタイミングで自分を『超電磁砲』と知って攻撃してくるという事実。
一連の事件と関係がないわけがなかった。
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