過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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429:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2010/12/20(月) 00:08:27.11 ID:Rs5RHhoo
「……」

 結局のところ、姫神には、薔薇乙女への疑念を確信するだけの材料がなかった。

 それどころか真紅は自分の恩人である小萌の危険に駆け付けるなど、むしろ恩を感じてしかるべき態度をとっている。この段階で彼女を否定する要素は、客観的には皆無と言えるだろう。

 そう考えれば、昨夜、上条にこのことを言わなかったのは正解だったのかもしれなかった。

 そう、昨夜の、公園では。

「……。」

 そんな風に己の疑念を納得させた姫神の頬が、不意に、かぁ、と紅く染まった。

 自覚できるレベルの熱さに、思わず両手で頬を触る。

 三沢塾の一件から約二ヶ月。あれだけ積極的な会話を上条と交わしたのは、実は初めてかもしれなかった。

 あの後、謝り倒してくる上条に冗談である旨を告げ、「代わりと言っては。なんだけど」と、小萌のお見舞いという約束を取り付けた。それからすぐ、門限が迫っているという理由で別れたのだが、そのとんとん拍子に進む状況に、上条は対応しきれなかったのだろう。

 どこかぼんやりした表情でこちらの言うことに頷いていた様子だったが、実を言えば、姫神自身の方が限界だったのだ。

 自分があんな風に彼の手を取っていたことが急激に恥ずかしくなって、それを気取られないことにいっぱいいっぱいだったのである。

 そんな状態で、薔薇乙女の話など、まともにできるわけがない。

「……。」

 それに、まぁ、その、所謂よい雰囲気だったあの時間に、あまりトラブルの元となる話をしたくないと言うかなんというか。

 結局、あんな場面において、自分以外の女性の話をしたくなかったのだ。

 いくら落ち着いた雰囲気を持っていようとも、そこは年頃の少女。それも想い人とふたりきりであれば、そういう心理が働くのは無理のないことであろう。


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