過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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435:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2010/12/20(月) 00:16:31.45 ID:Rs5RHhoo
(えぇー、あれー、なんでまたビリビリしてるんですかこの人ー)

 せっかく持ち直したはずの美琴の機嫌が再び悪くなりはじめた(何しろビリビリしてる)のを見て、上条の頬を汗が流れた。このままでは再び電撃と右手の応酬になるかもしれない。

 上条がそんなことを考え、内心ヒヤヒヤとしていると、

「上条くん。」

 と、シャツの裾を引っ張られる感触。

「ん、な、なんだよ姫神?」

 振り向いた視界の端っこで美琴の前髪が、パリッ、と青白く光るのが見えて、上条は軽く泣きそうになった。

「バス。来てる」

 それはそれとして、ほぼ真後ろ直近にいる姫神は、上条を見上げながらバス停の方向を指差していた。

 細い人差し指が向いた先で、停留所にバスが行儀よく横付けしている。もう降りるべき客も降りたようで、停留所から立ち去っていく幾人かが見えた。

 この区画は自立運行のバスではなく運転手がいるタイプのもので、さらに運転手がバスを指差す姫神に気がついているらしい。すぐに発車するような雰囲気ではない。

 これ幸い。まさに行幸。マニュアル万歳。運転手さんありがとう。

 上条は音速で美琴に振り向くと、

「じゃ、じゃあ御坂! 悪いけど俺たち、あのバスに乗るからさ! お前も風邪とか気をつけろよ!」

 シュバ、と左手を上げ、ついでに右手で姫神の左手を掴んで「っ。」身を翻した。

「あっ、こらっ、ちょっと!」

 背後から若干非難めいた美琴の声が聞こえるが、とりあえず聞こえないふりをする。ここで振り向いたら多分また言い争いになり、バスに乗り遅れてしまう。

 一気にバスに駆け込み運転手に左手を上げると 運転手の方も上条たちが乗るのを待っていたくらいなので、すぐに、プシュ、とドアが閉まった。

 ブロロロ、とわざわざ設定されている発進音を響かせながら、バスが走り出す。

「はー、やれやれ……」

 緩やかな慣性を感じながら、上条は一息。

 背後からビリビリとやられるかとも思ったが、なんとか無事だった。珍しく運がいい。

 もっとも、

「なんで朝からこんなに疲れるんだ……」

 この時点ですでに不幸である、というのかもしれなかったが。


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