過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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434:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2010/12/20(月) 00:15:01.95 ID:Rs5RHhoo
「ふ、ふーん」

 やけに上擦った声で頷きながら、美琴は解いていた腕を組み直した。

「アンタにもそういう殊勝なところ、あるのね」

「な、なにを言うのでせうか! 上条さんはこう見えて義理人情は大事にする常識人なのですよ!?」

 愕然とする上条に、私とまともにやり合える無能力者のどこが常識的なのよ、と呟く美琴。

 ともあれ、嘘はついていないようだ。なぜかほっとしてしまう。

 女性と言うところが若干ひっかかるが、お見舞いならば確かに同級生と行くことも頷けた。それに上条の服装にもまるっきり洒落っ気がない。いわゆる、デートという線はないと見ていいだろう。

(まぁ、そうよね。この馬鹿にそんな甲斐性、あるわけないか)

 そう思うと、モヤモヤとしたものはある程度鎮静化してきた。

 まったく消えたわけではないが、少なくとも浮足だった状態は脱したと言える。これならこちらの厄介ごとを気取られることもないだろう。

 幾分落ち着きを取り戻した美琴は、今朝から翠星石に嫌われたりなんなりで程よくダメージを受けている上条を無視して、彼の背後に立っている姫神に目を向けた。

 上条の向こうに立つ人物は、改めて見ると、

(う、美人…)

 背丈はやや低めだが、すっ、と通る顔立ちは、いかにも清楚、という感じである。

 美琴とは対照的に長い黒髪は手入れが行き届き、しっとりとしなやかに艶めいていた。服装は洋風だが、なんというか、大和撫子、という感じだ。奥ゆかしそうである。

(こいつ、これからこんな美人と二人きりなのよね……)

「……」

 またモヤモヤとしてきた。

 とはいえ、流石にお見舞いに割り込んでみたり、邪魔をすることなどできない。

 しかしこのモヤモヤとした感覚―――もうほとんどイライラと言ってもいい―――は、如何ともし難かった。


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