過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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572:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2012/01/09(月) 20:09:58.85 ID:HxMoiHH+o





 状況は変わっていなかった。

 金属音が響き、二人の少女が時に身を沈め、時に翻す。

 しかし変化がないわけではない。

 鋏の音と、少女たちの回避の機会が、徐々に増えていっていた。

 無理もない。

 少女たちは走っているのだ。いくら鍛えているとは言え、体力は無限ではない。

 このままでは、いずれ完全に追いつかれ、捉えられる。

 狭い場所での近接戦闘では、攻撃を防ぐのは回避ではなく防御にならざるを得ない。

 それは少女たちにとって、圧倒的に不利な勝負。

 しかしついに、その時はやってくる。

 体力の限界か、ツインテールの少女の脚が乱れた。

 靴の裏が地面を噛み損ね、前のめりに倒れ込んだ。

 辛うじて膝と右手を突いたが、完全に動きが止まる。

 ツインテールの左腕に抱え込まれていた花飾りの少女も、ほぼ同様に地面に手を突いていた。未だ握り締められ、そして転倒の拍子にその手から離れた携帯電話が地面に転がり、待受画面が表示される。

 それは暗闇の中、大きな光源となった、背中から迫る者の影を、壁に映し出した。

 そしていまこそ、鋏を構えた死神が、飛び掛かる。


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