過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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655:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2012/09/15(土) 01:54:31.07 ID:FsTN+OYbo

「え……」

「この夏より前の記憶が一切ない。覚えてないんじゃない。忘れたんじゃない。無くしちまったんだよ、俺は」

「……」

「俺はインデックスを助けた、らしい。俺自身は覚えてないけど、ステイルっていうインデックスの知り合いから教えてもらった」

 彼は右手を包むように、胸の前で手を組んだ。

「記憶をなくしたのはその時だって、医者が言ってた」

 それはその右手を誇るようであり、逆に、救いを求めて神に祈るかのような、そんな仕種だ。

「……でも俺はインデックスとなんで知り合って、なんで助けたのか、知らない。わからない」

 調べることも出来ない。あの白い少女の笑顔を護りたいから。

「でも俺は思うんだ」

 組んでいた手を離す。

 右手を、力強く握りこんだ。

「もしインデックスを助けたら記憶がなくなるってことが先にわかっていたとしても」

「……」

「絶対に俺はインデックスを助けたって、そう思ってる。そうだって言える」

 拳を胸に当てる上条。

「インデックスと出会った『俺』はもういない。取り戻すことだってできない。でもきっと、その『俺』が今もいたら、絶対同じことを考えてるはずだ」

「……」

「俺の――上条当麻の根っこは、記憶のあるなしで変わっちまうもんじゃないんだ。記憶があるからとか、記憶がないからとか――そういうもんじゃ、ない」

「……当麻」

「俺には前のお前がどういう『真紅』なのかわからない。でも、」

 上条が真紅を見た。

「俺には、お前が真紅に見えるよ。きっと『俺』も、お前が真紅だって言うはずだ。間違いない」


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