過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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761:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2013/05/21(火) 01:33:27.12 ID:BCdppM12o

 セーラー服が倒れた瞬間、上条は自分の奥歯が鳴った音を聞いた。

 セーラー服の少女は敵だった。

 水銀燈と手を組んで真紅と翠星石を襲っただけではなく、他にも多くの襲撃事件も起こしていると美琴から聞いている。

 だが、目の前で人形そのものとして倒れたセーラー服の表情は、驚きと哀しみに満ちたもの。

 自分が人間ではないことを突き付けられ、今までのあらゆる想いを否定された――エリス事件の風斬氷華のように、絶望に彩られたものだった。

 顔をあげ、壇上に立つアウレオルスを見る上条。

 美琴の姿をしながらなお男性的な佇まいのアウレオルスは、あたかも本物の彼であるかのごとく、冷静で、平静で、彼の口癖でいえば当然と言った視線を、セーラー服だった残骸に向けていた。

 その口元が薄い笑みを浮かべる。

「塵は塵にか。まさしくそのとおりになったな」

「!!!」

 言葉に、上条の頭に一瞬で血が上った。瞬間的な動作で右手に力を篭め、脚が床を蹴る。

「アウレオルスーっ!」

 椅子の列を一足に飛び越え、その背を足場にさらに跳躍。弾丸のように壇上のアウレオルスに向かう。

 壇上へ。

 眼前へ。

 そこに至って、ようやくアウレオルスの視線が上条に向く。

 遅い。もはや絶対にかわせない距離。

 文字通り手が届く位置にまで瞬く間に接近した上条は、己の胸の中の衝動をぶつけるかのごとく、右の拳を突きこんだ――だが。

 アウレオルスのその前髪が、まるでオリジナルのごとく、電撃を走らせる。

 拳が鼻に触れるか触れないか。

 直撃の紙一重前に、前髪から放たれた極微細な電流が、上条の右肩の筋肉に突き刺さった。


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