過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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774:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2013/06/04(火) 20:13:50.00 ID:pKbsmVrKo



 目を覚ました真紅が最初に思ったことは、自分がいつから気を失っていたのか、ということだった。

 アウレオルスに抱えられたまま『夢の扉』に入ったところまでは覚えている。

 しかし、その後はぷっつりと記憶がない。

(……当麻!)

 慌てて周囲を見回す。

 手足は動かないが、首は動いた。

 瞳が捉らえたのは、コンクリート打ちの床面、四辺を囲む金網フェンス、直方体に金属のドアがついた出入口。

 どこかの屋上だろうか。

 夜の帳が降りている。暗い。

 いずれにしても上条が三沢塾と呼んでいた建物ではないのは明白だった。

 次にわかったのは自分の状態だ。

 屋上中央に冗談のごとく生えた、一本の樹木。

 その幹に喰われるかのごとく四肢を搦め捕られ、タッケイを受けているかのように拘束されていた。

 翠星石の能力に違いない――彼女はまだアウレオルスの制御下にあるのだ。

 ぐいぐいと腕を動かそうとしても、木がわずかに軋む音をたてるだけ。とても脱出できなかった。

「目が覚めたか、真紅」

「……」

 そして、最後にわかったのは、自身が一人ではないということ。

 目の前に立つ、二つの人影。

 御坂美琴の姿をしたアウレオルスと、生気のない瞳をこちらに向けて佇む翠星石だ。

「……当麻たちは?」

 冷静な口調で問う。

 聞きたいことは山ほどある。

 だが取り乱すような醜態を晒すつもりはなかった。

「不識。夢渡りを行ってからは私の既知とするところではない」

 アウレオルスの声は淀みなく応える。

「ここはどこなの?」

「蓋然。ここは『吸血殺し』の住居、その屋上のようだ。彼女の夢の出口がここだったというだけで、私が選別したわけではない」

 再びアウレオルスは迷いなく応えた。


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