過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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778:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2013/06/04(火) 20:20:48.18 ID:pKbsmVrKo

「オリジナルが収集に成功していた『薔薇乙女』の身体――ローザミスティカを『命』に昇華する器に、私の一部を埋め込んだのだ。器はその機能のまま、中身を命に変えようとする。たとえそれが、偽りのものであっても」

 科学変化や数学、物理と同様の理論だ。極端な近似値であれば、それは真値と見做すことができる。

 ただしそれは、それこそ極端でなければ成立しない上、現実世界においては取り扱う数字が極大になればなるほど誤差も大きくなる。

 その誤差を修正しなければ、ローザミスティカを生み出すことはできないだろう。

「……『結界』はそれを補正するためね?」

「明察」

 頷くアウレオルス。

 大きくなるだろう誤差を埋めるために、アウレオルスが行ったのは、至極単純なこと。

 水銀燈との戦闘と、その過程での契約。

 契約者を喰い殺しかけた雛苺との闘い。

 水銀燈と組んだ蒼星石。腕を失う危機。

 そして、蒼星石との決戦と、水銀燈の勝利。

 その過程をいずれも『決界』の中で行うことだった。

 『結界』はその作用により、偽りの真紅と、真の真紅を同値にしようと働き掛ける。

「三沢塾の屋上に到達した時点で、お前はほぼ同値になっていた。そして過去、真の真紅は蒼星石との決戦で生まれ変わりに近い経験をしている」

 真の真紅は一度腕を失い、蒼星石との決戦時に再生されていた。

 製作者以外の手によってパーツを繋ぎ直される――人形にしてみれば、それはほぼ生まれ変わることと同義である。

 だが、そうなるはずの器が、すでに生まれ変わったものであったならば。

「あの状況下では、『結界』はお前の中でもっともオリジナルと程遠い部分――偽りのローザミスティカを真なものに変えて均衡を得ようとするだろう。そうしなければその状況の再現ができないのだから」

 ようやく、納得がいった。

 今まで感じていた記憶の違和感。

 それは器である身体に染み付いていた『昇華された自分』の記憶と、アウレオルスに都合よく改変された偽りの記憶との、齟齬だったのだ。


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