過去ログ - 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」
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58:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
2011/01/12(水) 22:25:29.39 ID:sZDacFKmo
 紅蓮に太陽が輝く。時刻は既に夕方。僕はやはり廃ビルにいた。
 たまり場の廃ビルじゃない、僕の家からは随分と離れた廃ビルだ。
 今にも崩れ落ちそうな、ところどころ錆びて剥げている階段を登る。
 唄が強くなる。
 屋上についた。この扉の向こうに、いる。
 『少女A』が。
 ドアノブを捻る。少しだけ力をいれる。錆びているのか、重く嫌な音が鳴る。
 僕はそれらを全て振り切り、ドアをこじ開けた。

 涼しい風が舞い込み、赤い逆光が射す。
 眩しさに目を細めながらも、僕はその場へと踏み出した。

 その場には既に揃っていた。 僕を含めて五人。即ち、四人が。

「あ、最後も女の子だ」

「あーや。そんなに注視しないの」

「あれ、もしかして全員女の子?」

 三者三様の台詞。
 しかし、何も言わない最後の一人には見覚えがあった。

「オマエは……!」

 彼女は日が当たらないように黒い帽子を深くかぶっていた。
 影で暗くて見えにくいが、その顔は驚愕に染まっているように視える。
 彼女が誰かって、忘れたくても忘れられるはずがない。
 パルクールレースにて、茜子と僕の身体と、花鶏の本を賭けて戦った――――


 尹央輝だったから。


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