過去ログ - 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」
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2011/10/02(日) 22:34:05.58 ID:zfGkbpcfo
技術の享受と、下ごしらえが全て終わって解放されたのは夕方を回った頃だった。
軽く溜息を吐きながら食堂へ入ると、そこそこに人数が集まっていた。
花鶏、こより、伊代と央輝も。
今日招いている人数には半分も及ばないけれど、十二分すぎる数だ。
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2011/10/02(日) 22:45:29.62 ID:zfGkbpcfo
智「ちょっとお手洗い行ってくるよ。みんな、時間までゆっくりしていってね」
こより「うぃうぃ!お気をつけていってらっしゃいませ!」
何を気をつけるのかわからないけれど、とりあえず笑顔で頷き返しておいた。
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2011/10/02(日) 22:57:33.87 ID:zfGkbpcfo
扉を開けると、そこには今屋敷にいる人数に差し迫る人数がいた。
カゴメ「遅いぞ和久津(弟)。ホストならばもっと早くしろ」
暁人「お前はどれだけお客様なんだよ!」
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2011/10/02(日) 23:14:34.20 ID:zfGkbpcfo
パンパン、と僅かに張り詰めた空気を、春さんが手を叩いて入れ替える。
春「はいはい、そこまでそこまで。今日は折角お誘いいただいたわけだし、諍いはなしなし」
相も変わらずこの人はメイド服らしい。喫茶店の仕事着と聞いたけれど、どれだけ払えば雇えるだろうか。
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2011/10/02(日) 23:31:16.60 ID:zfGkbpcfo
ようやく辿り着いた談話室前。僕は道を譲って五人に言う。
智「それじゃあ、準備ができたら浜江さんか佐知子さんが会場に誘導すると思うからここでゆっくりしててね」
暁人「ん、和久津はどうするんだ?」
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2011/10/02(日) 23:40:40.75 ID:zfGkbpcfo
こんこん、と部屋のドアがノックされる。
反射的に振り返り、はぁい、と答えてしまう。
扉の向こうは、佐知子さんだった。
佐知子「宮和さんと、阿弥谷さん、芳守さんが到着しました。あと、準備も出来たようなので庭にどうぞと浜江さんが」
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2011/10/02(日) 23:55:04.41 ID:zfGkbpcfo
厨房に向かうと既に蛻の殻だった。
おや、と思い食堂の窓から庭を見ると既に全ての食事が並んでいて、皆思い思いに近くの人と話していた。
その中で僕に気付いた一人が大きく笑顔で手を降ってきた。
るい「おおい、トモ〜!はやくはやくーっ!!」
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2011/10/03(月) 00:08:44.73 ID:yJdPesPho
少しして、先にるいの体力が尽きた。
才能がなくなって運動を始めたらしいが、それでも体力はまだ花鶏に及ばないらしい。
最後に一撃を喰らってよろけ、尻餅をついたところを花鶏が手を差し伸べる。
るいも照れたように笑いながらその手を掴んで、この場は終わり。
きっと次にまたあった時も同じようなことをきっと二人はするのだろう。
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2011/10/03(月) 00:23:39.98 ID:yJdPesPho
繰莉「どうやら繰莉ちゃんが最後みたいだね?本当待たせてごめんねともちゃん」
智「伊代の言ったとおりまだ時間じゃないし、それに最後じゃ――――」
繰莉「のんのん。繰莉ちゃんが、最後なんだよ」
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2011/10/03(月) 00:29:31.04 ID:yJdPesPho
智「準備?なんの――――っ!?」
言いかけて。
後ろから左右に、衝撃が走る。
右腕と左腕、それぞれ力強く抱きしめる衝撃が。
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2011/10/03(月) 00:39:59.65 ID:yJdPesPho
なんで、どうして?
どうしてこんなことに……!?
ギュッ、と右手を抱きしめていた茜子が混乱している僕の腕を抓った。
茜子「智さんが悪いんですよ。私だけかと思ったら……よくよく考えておくべきでした」
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2011/10/03(月) 00:51:07.68 ID:yJdPesPho
二人の花嫁が僕を挟んで喧嘩する。
つい先程まで目の前にいた繰莉ちゃんがにやにやしながら僕らを眺めていた。
……大体、理解できた気がする。
智「……あのー」
994:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/10/03(月) 01:01:44.76 ID:yJdPesPho
茜子「だから、私と真雪さんは考えたわけです」
真雪「もういっそ、智さんに私達のどちらかを決めてもらおうと」
……どうしてそうなった。
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2011/10/03(月) 01:19:28.54 ID:yJdPesPho
――僕に、もう未来は見えはしない。選択肢なんてもっての外だ。
だから、僕は。
ただ、僕の思うがままに動く。
996:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/10/03(月) 01:33:13.17 ID:yJdPesPho
夜も更けて。
……佐知子さんはいつの間にか、予定を立てた日から今日までに人数分の部屋の掃除を済ませておいたらしい。
半端ではない人数だったが、どうにかなったようだ。すごい。
皆が寝入った中、僕は円縁に座って祭りの残骸であるテーブルだけが残った庭を眺めてコップを煽った。
997:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/10/03(月) 01:42:29.15 ID:yJdPesPho
――僕は人気のない廊下を歩く。
いや、人は居る。見張りというか、夜勤の人が。
けれど僕は秘密裏に、こっそりとここに入ったのだった。
立ち並ぶ引き戸、そして部屋番号と下に書かれた名前を見る。
998:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/10/03(月) 01:53:43.41 ID:yJdPesPho
あの日から、姉さんはずっと眠り続けている。
呪いの、コミュの。全ての仕組みの裏をかいて、僕らの周りは平和になった。
けれど、そこには――姉さんだけが足りない。
姉さんだけがいない。
僕の幸せを願ってくれた姉さん。その僕の幸せには、つまり姉さんの幸せも含まれていたというのに。
999:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/10/03(月) 02:05:33.16 ID:yJdPesPho
智「……そうそう、今日は十五夜だからね、お土産に月見団子をもってきたんだ。浜江さんの手を借りながらだけど、僕が作ったんだよ」
本を見ながらなら一人でも作れるけれど、姉さんにあげるのなら生半可なものでは駄目だ。
だから厳しい審査をくぐり抜けて、僕は姉さんへの月見団子を作った。
プラスチックの容器に入った団子は合計10つ。
1000:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/10/03(月) 02:09:32.57 ID:yJdPesPho
次スレ 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」 Re:2
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さあ、おとぎ話をつづけよう――
1001:1001
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わ〜い、>>1001ゲット〜
__
‖ _~",ー 、,,_
| ‖ / |ノ ,>
\ | / ‖ /ヽ_,:-−'´
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智「さあ、おとぎ話をはじめよう」 Re:2 @ 2011/10/03(月) 02:08:28.35 ID:yJdPesPho
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吾郎「青道高校?」 @ 2011/10/03(月) 02:04:50.30 ID:gmi/wlrAO
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