109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/23(日) 23:52:27.59 ID:q0fuJHc+o
当て所なく街をぶらつく。でもそれでいい。目的なんてなくたっていいじゃない。
おしゃれなお店に入らなくてもいい。綺麗な夜景なんて必要ない。
ゲーセンとかカラオケとかで騒がなくたって何の問題もない。
本当のところ、究極的にはそれ以外に何一つ必要ない。
デートってのは要するに口実だ。
現に私がいい例で、本人がそうと自覚しなくてもデートになりうる。
今まさにこの状況。重要なのは私の隣にアイツがいるという事実だ。
日は既に傾きかけ、どこか寒々しい気配が頬をなでる風に感じられ始めていた。
まだ夕方と呼ぶには早いけれど、じき暗くなる。そんな時間帯。
でも休日の街はその程度のことで活気は失われない。
どこもかしこも人が溢れているようで、まるでお祭り騒ぎだった。いや、何かイベントがあるんだっけ?
そんな雑踏で埋もれた視界の端を。
見覚えのある不自然な感じに跳ねた髪の毛を生やしたぶかぶかの白いシャツと、
それを追いかける頭に花瓶を乗せたようなセーラー服が掠めた気がした。
「どうした?」
「……なんでもないよっ」
全力で見なかった事にした。
うん、今日ばかりは邪魔されたくない。どこか遠いところで幸せになってもらおう。
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