110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/23(日) 23:53:09.93 ID:q0fuJHc+o
ひゅう、と一際強い風が一陣吹き抜けた。
季節はずれとも思える冬の匂いのする冷たい風。
ついこの前まで暑かったあの夏の気配は一体どこへ行ってしまっ――。
「へくちっ」
気力を振り絞って精一杯可愛らしくくしゃみをした。
取り繕うのも大事だ。何より乙女ポイントが下がってしまう。私まだ十四歳だもの。
でも堪えられなかった時点で私の負けなのかもしれない。
お人よしのアイツが反応しないわけがないのだ。
「おいおい、そろそろ寒くなってきたのにそんな格好してるから。
センセーに見つかって怒られても知らないぞ? オマエ、ただでさえ有名人なんだから」
アイツの言葉に少しだけいらっとする。
普段着慣れない私服姿なのは外でもない、アイツがいるからだ。
未だに可愛いとは言ってくれないけど、それにしたって他に言い方はあるじゃない。
でもすぐに私の苛立ちは納まってしまう。アイツの言葉は私を心配してくれたものだ。
こんな時に嫌味を言えるほど器用ともきざったらしいとも思えない。
だから私は茶化すように返した。
「しーらない。たまにはいいでしょ?」
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