113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/23(日) 23:55:59.95 ID:q0fuJHc+o
「うっせーよ! ちくしょう、返せよ!」
伸ばされた手をひらりとかわして、それからちょっともったいなかったかなと正反対の事を頭の隅で考える。
「やだよーだ」
とん、と軽やかに着地し舌を出してやった。
普段やるにはそうとう勇気のいる仕草だけどアイツに対抗するにはこれくらいでちょうどいい。
肩にかけただけの学ランからは、ほんの少し汗の匂い。
でも不思議と嫌じゃない。なんだか……うん、男の子の匂いだ。
それに直前までアイツが着ていたからだろう、私のものではない暖かな温もりがまだ残っている。
(うーん……さすがにこれはちょっと、自分でもどうかと思うけどさ。浮かされすぎじゃない?)
自分でもあまりに乙女チックな妄想だとは思う。
でも――まるでアイツに優しく抱き締められているような、そんな気さえして。
「くそ、せっかくジェントルな事してみれば……不幸だ……」
「……えへへ」
その上いつものようにそんな事を呟くアイツが何だかとても愛しくて、私はついつい破顔してしまうのだった。
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