16:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/05(水) 22:51:20.62 ID:fTbLwVYo
とりあえず目に留まったどこにもあるファーストフード店の自動ドアをくぐり、飛び込んできた私たちに目を白黒させている店員に適当に注文した後、学生たちでごった返す店内でどうにか空いているボックス席を見つけて腰を下ろし、そこでようやく一息ついた。
焦ったぁ……確かに私も人目をはばからないというか、直情的に行動した部分はあるけどさ。
まさかあそこまで注目の的になるなんて思わないじゃない。
「あのー……」
声の方を向けば、アイツが苦笑いを浮かべながら席の横で突っ立ったまま私を見下ろしていた。
やっと一息、というところで空気も読まず話しかけてきたアイツに思わずいらっときてしまう。
だが私のそんな感情の機微にアイツが気付くはずもない。
「何よ」
我ながらつっけんどんな態度で睨み返した。
それに対してアイツは何か反応するような事もなく、表情は変わらぬままばつが悪そうにこんな事を言った。
「そろそろ、手を離してくれませんかね」
「……へ?」
一瞬アイツが何を言っているのか分からなかった。
私はぽかーんとアイツの顔を見た後、ゆっくりと視線を下ろして……そこではじめて、自分の左手がアイツの右手をぎゅっと握っている事に気付いた、
「……うわあああっ!?」
思わず素っ頓狂な声を上げて私は手を振り解く。
勢い余って両手をまるで万歳をするように上げ、席の奥にずざざざっ! と自分の体を押し込んだ。
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