162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 20:59:56.32 ID:Vac5WSOJo
アイツの瞳に映る私はどんな顔をしていただろう。
アイツはしばらく私の顔を見ていて、ゆっくりと目を瞑り、しばらく何かを考えた後、またゆっくりと目を開いた。
アイツはなんだかとても真剣な表情で、でも私にはなぜだかどこか悲痛なものを堪えているように思えた。
アイツの瞳は揺れていた。
だって今までずっと嘘をつきとおしてきたんだ。
騙してきたといってもいい。きっと不安で、怖くて仕方なかったんだと思う。
でもやっぱりアイツはアイツだった。
「――聞いてくれるか」
答える代わりに手を伸ばし、触れたアイツの手は冷たかった。
大丈夫。
怖いなら私が手を握っていてあげる。
不安なら笑いかけてあげる。
だから安心して。私が傍にいるよ。
「……ああ」
優しく握り返してくる。瞳はもう揺れていなかった。
アイツは深呼吸を一つして、それからゆっくりと口を開いた。
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