306:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/09(水) 03:03:13.35 ID:eTlxd+mXo
滝壺だけを例に取っても、彼女が失った代償は大きい。
他の三人も同じようなものだろう。何か絶対的に大切な物を失っているのだ。
それは彼女たちが二度と日の当たる場所へは帰れないようにするための足枷。
小鳥の風切羽を切るようなものだ。鳥が翼を失ってしまえば地を這うしかない。
だが浜面が暗部に落ちる切欠はどうだ。
危ない連中から仕事を引き受けてしまって盛大に失敗した。ただそれだけだ。
――たったそれだけ。
浜面はただなし崩しに暗部に落ちただけで。
彼女たちのように『暗部以外に居場所がない』ような境遇ではない。
「……」
二人に気付かれないよう浜面はこっそりと背後に目を向ける。
そこには少年の死体が一つ、転がっていた。
名も知らぬ『スクール』の少年。
ゴーグルのようなヘッドギアのような、柳の葉のように四方からコードの飛び出た妙な機械を頭に付けていた。
浜面が彼を殺した。
力任せにゴーグルを引っこ抜いた感触がまだ手に残っている。
ベキベキと何かが砕けるような感触。身の毛もよだつような気味の悪い手触りだった。
ほとんど勘であたりを付けていたそれは見事に的中し、致命傷となった。
彼の頭を取り囲んでいたゴーグルから伸びた針と管は、どう考えても最初から脳に突き刺さっていた。
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