411:脱字った[saga]
2011/03/10(木) 02:35:42.95 ID:BKb66g/qo
「――何を超ちんたらやってるんですか」
苛立ちの声と共に浜面の横を絹旗が駆け抜け、廊下へと踊り出る。
「おい絹旗……っ!」
きゅっ、とスニーカーの靴底で廊下を踏み、絹旗はその先に視線を向ける。
「……クリア。何もありませんよ」
「オマエ、待ち伏せされてたらどうすん――」
「私の『窒素装甲』がそこらの豆鉄砲で貫けるとか超思ってませんよね」
いつもに増して棘のある物言いをする絹旗は、しゃがみ込んだ浜面を半眼で見下ろしていた。
その様子に浜面は僅かな違和感を覚える。
いつもの絹旗は、浜面への態度こそ多少きついもののこの手の感情を露にする事などなかった。少なくとも浜面の知る限りでは。
だがどうしてだか……絹旗は浜面に初めて負のベクトルを持つ感情を見せていた。
『窒素装甲』の名を持つ少女。
彼女の鎧の内にあったはずのものが漏れ出しているのは、単に抑えきれなくなったのか、それとも。
(――多少は俺の事を信頼してくれたと思ってもいいのかな)
それはきっとナルシズムからくる錯覚だろうと思いつつも、浜面は少しだけ嬉しかった。
こんな、死の臭いが蔓延しているような状況にも拘らず。
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