503:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/03/23(水) 01:38:38.20 ID:N02eUm/Go
「テメ――!」
黒夜が振り返るよりも早く絹旗は両手で受け止め衝撃を逃がすために身を縮ませる。
そして、曲げられた両手で床を押し返す。
少女の細腕では到底不可能な運動。しかし『窒素装甲』が本来彼女が持つものよりも遥かに高い力を生む。
腕の動きだけで絹旗は跳躍する。
小さな体が宙を舞い、それに合わせ大気がうねり――――
ベクトル
絹旗は持てる演算能力を全開にし、大気が、窒素が動きを生むよりも早く制御する。
――――私に従え!
絹旗の体の動きに押され流されようとした窒素を、
能力の圏内に入った端から周りの他の気体ごと固定し内へ内へと圧縮する。
身に纏う僅か数センチの領域内に全てが押し込まれるが、
体が過ぎた後の空間に停止させたまま置き去りにする事で同量のものを逃がす。
風を生まず移動するために全てを後ろへ流す。
そのために莫大な量の演算をこなし、脳の血管が破裂しそうな錯覚さえするが。
私だって――この程度の芸当もこなせずに『彼女たち』と同じ舞台に立てる訳がない――!
たとえ主役にはなれなくとも。
銀幕に輝く花形にはなれなくとも。
華美さの欠片もなくどうしようもなく地味で損な役回りだとしても。
「――助演女優賞くらいは貰っとかないと超割りに合わないってもンですよォっ!!」
繰り出された蹴りが槍の如く一直線に黒夜に突き刺さった。
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