過去ログ - 御坂「名前を呼んで
1- 20
677:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/05/18(水) 20:31:15.42 ID:32iMxubGo
「う……」

目が覚める。

悪夢を見ていたのに起きた途端に全部忘れてしまったような嫌な気配。
まさかそんな事があるはずないのに、と自嘲してようやくフレンダは我に返った。

そうだ、私は素粒子工学研究所で――。

「っ――!」

気絶する直前の記憶を思い出し跳ね起きた。

あの獣型のロボットに打たれた薬がまだ残っているのだろうか。
朦朧とした意識は彼女の持つ能力からすればありえない事だが、演算を阻害する薬効があったのだとしたらそれも頷ける。
事実今の彼女には記憶を回想する事すらも自力でやらなければならなかった。

通常その『心理掌握』の効果をフルに発揮できていればフレンダは完全記憶能力に近い記憶探索能力を持つ。
自分で自分の思考と記憶に働きかけられる状況であれば記憶や心理状態はおろか、感覚器官の増幅や遮断も思いのままだ。

肉体的にはただの少女ではあるが人が生まれつき持っている人体限界値のリミッターを外せば爆発的な身体能力すら発揮できる。
もっともそんな事をすれば筋肉痛どころでない事態が待っているのだが。

ともあれ、フレンダは『心理掌握』を十全に働かせられないものの、僅かばかりの感覚強化を行い状況把握に努める。

ここはどこかの倉庫だろうか。
薄暗く、埃っぽい。分厚い鉄扉の隙間から微かに外の明かりが差し込み、埃を反射してカーテンのようにも見える。
外からは車のエンジン音が絶えず聞こえ幹線道路に近い事が分かる。床から感じる振動はモノレールのものだろう。
鼻をくすぐる油と薬の臭いは独特なものだ。近くに何かの工場があると考えていい。となればここはその倉庫だろうか。

記憶の中の学園都市の地図と照らし合わせて大まかに計算する。
幾つかの条件を照らし合わせれば合致する地形は限られている。都合数ヶ所。その内にもっとも確率の高い場所は――。

「ああ。気が付いたか」

突然の声にはっと振り返るとそこには長い髪を二つに括った少女がいた。
フレンダがあの機械の獣に襲われた時に、今と同じように突然現れた少女だ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
751Res/479.61 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice