過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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288: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/02/14(月) 21:56:17.88 ID:jopcByVxo
「で、相談ってなんなんだ?」
「はい、実は……あ、これは私の友達の話なんですけど――」
友達の話なんですけど――相談の常套句だな。あまりにも定番すぎて、逆にこの前置きを付ける方が本人のことだと疑われてしまうぐらいだ。
「……その子、気になる人がいるみたいなんです」
訳すと「私、気になる人がいるんです」となる。
ははっ、いかにも思春期らしい悩みじゃないか。
「なにい!? だ、誰なんだそれは!? お、俺も知ってるやつなのか!?」
あやせの方に身を乗り出し、握り拳を作ってわなわなと震わせる。
「ひっ……きゅ、急に大声出さないで下さい! っていうか落ち着いて下さい。眼が血走ってますよ!?」
これが落ち着いてなんぞいられるか! 誰だ! 俺のあやせたんをたぶらかした奴は!?
見つけたらぶっ飛ばしてやる!
「落ち着けっ!」
「へぶしっ!?」
いささか錯乱気味だった俺は、あやせに見事なビンタを頂戴したことでようやく正気に戻ることができた。
「す、すまん」
痛む頬をおさえながらあやせの方を向きなおす。
「もう……真面目に聞いて下さい。相談に乗る気あるんですか?」
あやせは、呆れたように半眼で俺を見ていた。いわゆるジト目ってやつだ。
「すまん、もう大丈夫だ。で、気になる人がいて? 埋めに行くのならいくらでも手伝ってやるぞ?」
「行きませんよ。いや、私としても埋めたいところなんですけどね。どうしてもというなら一人で樹海にでも行ってください」
ばっさり。
なんなの? なんで俺の周りには対応が冷たい子しかいないの?
俺って自分で思ってるより人に嫌われてるのかなあ……。
「話を戻しますよ。その子はですね――」
涙目の俺を尻目に、あやせは淡々と事情を説明していく。
あやせが言うには、その子は自分で自分の気持ちがわからないらしい。
“気になる人”はいるものの、それが好きということなのか、憧れであるのか、あるいはそのどちらもなのか、はたまたその他の感情なのか。
それを理解できていないようだ、とのことだった。
傍から見ている側としては、見ていてとてもやきもきしてしまうらしい。
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