過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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290: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/02/14(月) 21:58:29.51 ID:jopcByVxo
「……その子素直じゃなくって……あ、いや、もちろん私の前では素直ないい子なんですよ? でも“気になる人”のこととなると途端に素直じゃなくなるんです」
それを聞いて、一つのアイデアが浮かんだ。
「素直になれない……か…………それなら、電話なんかがお勧めだぞ?」
「電話……ですか?」
「そう、電話だ」
電話越しで顔が見えない分、素直になれた奴を俺は知っていた。
あの時の桐乃を思い出して、思わず頬が緩んでしまう。
「これは実体験なんだがな、意外と顔が見えない方が上手く言えることだってある」
あの桐乃が素直に礼を言ったくらいだからな。大概の人間ならばそれでうまくいくはずだ。
「そうなんですか?」
「おう。だから、もしその子の気持ちをどうしても確かめないといけない時がきたら電話で聞き出す方がいいかもしれん」
ま、あやせの言う“その子”というのが本当に存在するならば――だけどな。
「そうだ。それ、俺の妹にも相談してみていいか?」
「えっ? 妹さんですか?」
「ああ。俺の妹はでかいくせに人の心の機微というか、そういうのに敏感でな。きっといいアドバイスをもらえると思うんだ」
相変わらずの他力本願であるが、あいつならきっと素晴らしいアドバイスをくれるはず。
……そう思ったのだが、あやせはどうも乗り気でないようだ。口に手をあて、なにやら考え込んでいる様子だった。
「あー、やっぱり他の人に聞くのはまずいかな?」
「いえ……そういうわけではないんですけど……あなたの妹さんというのが問題なんです」
「なんだそりゃ」
あやせと沙織の間に接点なんてないはずだけどな。以前俺の家に来た時も、結局顔は合せなかったし。
沙織はあやせのことを存在は知っていても顔も知らない状態だしな。まあ、目の敵にしてる節はあるけれど。
我が妹ながら、大したブラコンっぷりである。
「じゃあ、名前は伏せて相談するってのはどうだ?」
「……ずいぶん妹さんを信用してるんですね」
「まあな。あいつは本当にできた妹だからな」
なにせ、あの桐乃と黒猫にはさまれ緩衝役をこなしても尚こんな顔ωして笑っていられるほどの人間だ。
あいつにとってはこのくらい朝飯前な気がする。
「はあ……聞いた通り、本当に重度のシスコンなんですね。それが一番の問題なのに……。わかりました。じゃあお願いします」
「おう、まかせろ」
ちょっと聞き捨てならないような言葉が聞こえたが、あえてスルーした。正直、否定できないからな。
「結果は後で電話する」
「はい、わかりました」
ふひひ、これで自然にあやせと電話できるぜ。ひょっとすると、これであやせの本音がきけるかもしれんな。
それはさておき、
「すっかり暗くなっちまったな。家まで送ってくよ」
気付けば、辺りはすっかり暗くなっていた。公園内の街灯がすでに灯っている。
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