過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
↓ 1- 覧 板 20
405: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/03/03(木) 21:51:26.06 ID:fh2Yys3do
第十五話
「シスコンなのもいいけれど、大概にしておきなさいな。沙織はもう自分の考えを持って生きているし、あなたにいつまでも頼っているような子ではないの。あなたこそ早く妹離れしたらどうかしら」
「でないと……沙織も、あの女も可哀想だわ。そして私は惨めなだけ」
黒猫に相談をもちかけてから数日が経ったが、黒猫の言葉が今も脳裏にこびりついて離れない。
黒猫は何故あんなに怒った? 沙織のブラコンをなんとかしたいと言ったと思えば、今度はブラコンじゃなくなってしまったんじゃないかと言い出すような優柔不断っぷりに嫌気がさしたのか?
あの女って誰だ? 惨めなだけって、一体なにが惨めなんだよ?
「……くそっ、何がなんだかさっぱりだ」
自室のベッドに仰向けに寝転びながら呟く。
ちなみに黒猫は高校受験を既に済ませており、後は合格発表を待つのみということらしい。
黒猫本人に聞くのはなんとも気まずく、あの後沙織に聞いておいたのだ。
その際随分と怒られてしまった。自分の時は怒らなかったってのにな。どんだけ友達思いなんだ、こいつは。あるいは、沙織はほぼエスカレーター式に進学できるが黒猫はそうではないことが関係しているのだろうか。
そんなことを考えていると、ある考えに思い至った。
「……沙織の中での優先順位が変わったのか?」
あなたにいつまでも頼っているような子ではない。黒猫はそう言った。
始めはブラコンじゃなくなったという意味かと思ったが、冷静に考えれば唐突にブラコンじゃなくなることなんてありえるだろうか。ましてやあの沙織が。
実は唐突でもなんでもなくかなり前からブラコンではなくなっていたなら話は別だが、この際その線は置いておこう。
そう考えると別の意味が見えてくる。
沙織は何かしらやりたいことすべきこと大事なことを見つけて、そこでは俺の助けを必要としてなくて――
妹の自立。それはかつての俺が望み、今の俺が恐れたことだった。
黒猫から見れば、今の俺は沙織の自立を妨げる邪魔者に見えたことだろう。
妙な寂寥感が心を支配する。
「なにやってんだろうな、俺は」
ただ、何を考えてもそれは所詮推測でしかない。沙織や黒猫に直接尋ねる勇気もない。
一人暗い思考に囚われていた俺を救ったのは、突然鳴った携帯電話だった。
533Res/332.38 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。