過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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522: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/03/22(火) 18:04:58.50 ID:/jaFti/Vo
そう、他意はないんだ。あくまでもちょっと気になっただけで。
別に親父から“沙織の学生生活に探りをいれ、野郎がいる部活に入ろうとしているならそれとなく別の部活に誘導するように頼まれた”わけじゃないぞ。
親父に頼まれたのは“近づくやつがいるなら容赦なくぶん殴れ”だ。
さすがにそれは駄目だろ! と、思わず突っ込んだのだが親父は至って真面目な顔で「傷害程度なら俺がもみ消してやる」とのたまった。
もはや犯罪じゃねえか! 職権乱用もいいとこだよ!
親父のやつ、どんだけ娘を溺愛してるんだ……。
ともあれ、今の所沙織はなにかしらの部活に所属する気はないようだ。それですべてが安心ってわけじゃあないけどさ。
近づくやつがいるなら容赦なくぶん殴れ。
実に馬鹿馬鹿しい話ではあるが……俺としても親父の気持ちはわかる。俺だって、先日その気持ちを味わったところだからな。
どこぞの馬の骨ともわからん男に沙織はやれん。
この一点において、俺と親父の気持ちは完全に一致していた。
俺が卒業するまでの間、全力で沙織につく虫を排除する。俺はそう決めたんだ。
「黒猫はどこか入るって言ってたか? たしか同じクラスなんだろ?」
「黒猫さんも部活に入るつもりはないようですわ」
「そっか」
黒猫の方は、正直そうじゃないかと思ってはいた。
あいつのことだからクラスに馴染むのにも時間がかかると思う。あいつの性格はややこしいからなあ。
その点、沙織と同じクラスで本当によかったと思う。沙織ならばうまいことクラスの人間との橋渡し役になってくれることだろう。
「それに、部活に入ったらきりりんさんや黒猫さんと遊ぶために割ける時間が制限されてしまいますから」
なるほど。沙織らしい答えだ。
気になる部活がない。というのも確かに部活に入らないことの一因ではあるのだろうが、恐らく、こちらの方が主な原因であるはずだ。
まあ、部活に入ったからといって遊ぶ機会が劇的に減るなんてことにはならないとは思うけどな。
なんだかんだで寂しがりなんだなあ、こいつ。
「あと――」
「うん?」
「もちろんお兄様と私の時間も」
そう言って微笑みながら顔を寄せてくるもんだから不覚にもどきりとしてしまった。
……くそっ、その台詞と行動はちょっとずるい。そんなことはありえないと頭ではわかっていても、沙織の言葉はどうしてもあらぬ妄想を抱かせる。
多分沙織もそれをわかってやっているはずだ。
妹相手にこんな気持ちになってしまうとは……俺はシスコンを通り越して変態鬼畜兄貴になってしまったのだろうか。
……それもこれも全て桐乃が寄越したエロゲのせいに違いない。
「そういえば、今作ってるプラモのことで聞きたいことがあるんだが――」
逃げるように露骨に話題を変える。ここまでわかりやすい敗北宣言もなかなかないだろう。
ちくしょう。なぜ俺が実の妹に対して照れなくてはならんのだ。
依然として沙織はにやにやと、こんな口ωをしてこちらを見つめている。
……なんかこいつ性格悪くなってねえか? いや、人間として駄目な方向に向かっているって意味じゃないから別にいいんだけどさ。
これも桐乃や黒猫の影響だろうか。だとしたら恨み言の一つでも言ってやりたい気分だ。おまえらの影響で沙織が変わっちまったんだがどうしてくれるんだ、とな。
顔を赤くし、ともすれば今にも妹の冗談を真に受けてしまいそうな兄を、いかにも「満足しました」と言わんばかりの満面の笑みを浮かべながら見つめる沙織。
そんな妹様を見て俺はこう思ったのさ。
俺の妹が、こんなに意地悪なわけがない――ってな。
俺の妹が身長180cmなわけがない
おわり
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