過去ログ - 佐天「嫁にして下さい!」 一方通行「ゴメン、ちょっと待って」
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貧乏螺子
◆d85emWeMgI
[saga]
2010/12/28(火) 00:38:51.63 ID:YzNGWyE0
佐天の優しく、濡れた瞳を捉える。柔らかく開いた唇が目に着く。
両の頬に触れている手が微かに震えていることに気付く。何を今更。ついさっき、そう言って彼女を言葉で弄んだではないか。
ついさっき?果たしてそうだったのだろうか。本当はもっと前からかもしれない。だとすればいつから?
彼女の様子を思い返す。
―――― 膝の上で組み合わされた小さな女の子らしい手が、ぎゅっと力のこもっていることだけはわかる。 ――――
それが震えを誤魔化す為だったら?
『 ――― それは怖いですよ』
それは冗談ではなく本音だったら?
ぞくりと、身体を、心を、揺さ振るような感触が全身を撫でたような気がした。
彼女は怖いのだ。ずっと、今まで。その上で、自分と向き合っていたのだ。
彼女に向けた言葉を思い出す。
『俺がどんだけお前に かをなァ』
自分の偽らざる本音。思わず零れ落ちてしまったのは、彼女が珍しく気落ちしていたから。そんな彼女を見ていられなかったから。
彼女の望む言葉の本質を感じ取ってしまったから。そして、今の彼女のあり方こそが、まさに自分が彼女に対して抱いている本質だった。
眩しいと、そう、目が眩むほどに眩しいと感じる彼女の強さ。魅力。本質。
自分の中の何かを掴んで引きずり出していくような気がした。
気付けば一方通行は飛びのくように佐天から距離を置いていた。
これ以上、佐天と一緒にいてはいけない。いてしまえば、自分の決意も何も無くなってしまう。
理解の出来ない感情。結標といるときに時折感じる感情。それよりももっと強い衝動。
一体自分はどうしたというのだろうか。
佐天が胸元を手で抑えながら、見つめてくる。
耐え切れず、一方通行は声をあげた。
「……悪ィ……帰ってくれ……今の俺は、わけが…もう、ワケがわからねェ…ンだ」
縋るように、請うように、学園都市最凶の怪物などという冠がウソのような、それはただの途方に暮れた少年の言葉だった。
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