過去ログ - 佐天「嫁にして下さい!」 一方通行「ゴメン、ちょっと待って」
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貧乏螺子
◆d85emWeMgI
[saga]
2010/12/29(水) 01:25:39.49 ID:TW5Selw0
「一方通行さんッ!!」
悲痛な佐天の叫び。一方通行の膝から下が崩れ落ちる。
一方通行のわき腹に焼き切れた傷口が刻まれていた。
肉の焦げる匂いが鼻を突く。しかし、不快感を催すはずのその匂いが、垣根に実感をもたらす。
勝利の実感を。
佐天が己の身も省みずに一方通行に駆け寄った。
崩れ落ちる身体を支えながら、傷口に目をやり、佐天の顔が歪む。
コルクを抜いたようにすっぽりと引き抜かれた傷口が、見ているだけで苦痛をもたらす。
何で来たんだと、言おうとして、一方通行の口からは赤黒い塊が零れる。
血の塊が佐天の制服を汚していく。
互いの先の世界を読み合い続ける両者の攻防は拮抗していた。
しかし、とうとう此処にいたりそれは完全に崩れることになった。
苦悶の呻きを上げて膝を突く一方通行。
涙を浮かべながら一方通行を支える佐天。
二人を見下ろす形になった垣根は、ひとつ深く息を吐くと、その背の翼を折り畳むように消す。
垣根の心は達成感で余すところ無く満たされていたわけではない。
こんな形の決着など望んではいなかった。本音を言えば、それが垣根の正直な気持ちだ。
人質を取り、挑発を繰り返した挙句にようやく捥ぎ取った勝利。
そう、垣根は決して楽勝だったわけではない。寧ろ、それは辛勝と呼べる。
何故なら、彼もまた一方通行と同様に余裕が無かったからだ。
『生き返り立てて垣根クンは調子が出てないンじゃねェのかァ?』
奇しくも、一方通行の放った挑発は、核心を突いていた。
それゆえに、垣根は焦った。
そう、焦っていたのは垣根の方にも言えるのだ。
培養機から抜け出したのが、10日前。
三等分されていた脳の復元と、クローニングされた肉体への定着。
本来ならば調整をしながら徐々に慣らすべきであった肉体を引きずり、騙し騙し使っていたのだ。
無理な演算のせいで、耳の裏から脳髄へと突き刺さるような痛みがじくじくと苛む。
この10日悩まされ続けていた鈍痛は、能力を使う度に酷くなる。
それでも、垣根はこの戦いを止めるわけにはいかなかった。
自分の全てを賭けて、勝ちたかった。
その為に些細な美学もつまらないプライドも捨てた。
そして、一方通行の弱点を突くべく、下らない、自分の美学に反するものを用意した。
数百人のスキルアウトを用意し、人質を用意し、このビルを用意した。全ては一方通行を下すために。
チョーカーのバッテリーを消耗させ、一方通行の集中力を乱し、そして ―――― 最後の最後のこの不意討ちを成功させる為に。
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