434:貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]
2011/01/21(金) 21:46:10.37 ID:fSpuMihf0
「やっぱり貴方にはスーツがとても似合うのね、ってミサカはミサカは細身で黒を着こなす貴方にうっとりしてみる」
「野郎なんざ今日は添え物だろォが。主役が何言ってやがる」
「ミサカとしてはもうちょっとレースがいっぱい付いてても良かったんだけどなぁ〜」
細身の身体を覆うドレスを見下ろしながら打ち止めはちらりと一方通行を伺う。
「バカ。そこがギリギリだろォが。それ以上だと学芸会になっちまうぞ」
一方通行は苦笑しながら、打ち止めの頭を軽くなでてやる。
折角綺麗にセットされたヘアスタイルが乱れないように細心の注意を払う。
くすぐったそうに、頬を染めて打ち止めは一方通行のなすがままにされる。
彼がここまで優しく、穏やかに笑ってくれることなど滅多に無い。
たまに一方通行が見せる微笑みや、優しい言葉を、打ち止めはまるで花が開く瞬間のように大切なものとしている。
その彼との思い出の収集癖ともいえる彼女の性格は、幼い頃から積み重ねた『習性』と化している。
一方通行は、そんな打ち止めを優しい瞳で見下ろしている。
新しい服を買っては自分の前でファッションショーをしていた幼い少女。
適当な返事をすれば頬を膨らませて不平の言葉を良い、似合わないとはっきり言えば唇を尖らせてクッションを投げつけてくる。
随分と手を焼かされたものだと、懐かしむように目を細める。
変わらぬはずの仕草であるというのに、既にその身に着けているのは、門出を示すもの。
すっかりと成長した少女への感慨深さと、過ぎ去った年月への感傷に一方通行は言葉に詰まる。
552Res/236.38 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。