435:貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]
2011/01/21(金) 21:47:43.49 ID:fSpuMihf0
「それで、ミサカはまだキチンと言葉にしてもらってないんだけど?ってミサカはミサカは
ノスタルジーに浸ってる三十路の一方通行をジト目で見てみる」
淡い感傷に思わず浸る一方通行を打ち止めは不服そうに見上げる。
頬を膨らまし、二十歳を超えた大人の女とは思えぬ仕草に、一方通行は溜息を漏らす。
「まだ29だ。つーか、そンなこと今更俺に聞いてどうするンだよ…」
「聞きたいんだもん」
打ち止めは、一転して真剣な瞳で一方通行を見上げる。
姉譲りの凛々しい顔立ちは、このようなときに際立つ。真っ直ぐな瞳に、一方通行は佇まいを自然と直す。
頭一つ分下からじっと見上げてくる真剣な瞳には、嘘も誤魔化しも許さないという決然とした光が宿っている。
やれやれと、内心溜息を吐く。
本当に大きくなったものだ。
頭を撫でそうになる手を寸でのところで抑える。
今は子供ではなく、一人の大人として扱うときだ。
一方通行は、何度か小さく息を吸っては吐くと、覚悟を決めたように打ち止めの瞳を見つめる。
「綺麗だ」
打ち止めの瞳が丸く見開かれる。
驚きと、それ以上に受けた衝撃に。
一方通行は、こみ上げる気恥ずかしさに蓋をするように言葉を組み立てる。
これを逃したら恥ずかし過ぎて自分は何もいえなくなってしまう。そう判断した。
「スゲェ綺麗だ。ああ、今、この瞬間、お前は世界で一番綺麗な女だよ。自信を持て。正直見惚れちまったよ」
一息に言い切ると、遅れてやってきた羞恥に頬が熱くなる。
すぐにでも打ち止めから顔を逸らしたい衝動に駆られそうになるが、それを留めたのは裾を握る彼女の指先だった。
「えへへへへ……何だか照れちゃうね」
瞳を潤ませながら、真っ赤な顔をした打ち止めがはにかむ。
その様が余りにも可憐過ぎて、一方通行はくすぐるように打ち止めの頬を撫でる。
どんなチークよりも鮮やかに、彼女の可憐さ、美しさ、瑞々しさを引き立てる幸福と感激の朱色。
愛しいと、素直に目の前の少女―――そう、いつまでも一方通行にとっては少女である花嫁を優しくあやすように撫でる。
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