過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
1- 20
364: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2011/01/14(金) 13:17:35.96 ID:7cnr1jFTo

男は怯まず、左手で一方通行に殴りかかる。
側頭部を強打され一瞬意識を持って行かれそうになるが、何とか耐え切った。
彼は再び風を操作し、今度は風の刃でマイクロマニピュレータを引き裂く。
すると、男は今度こそ悔しそうな表情を浮かべた。

「このッ……、調子に乗ってんじゃねえぞ!」

しかし男は、風の刃の余波を喰らって血塗れになった左手で攻撃してくる。
マイクロマニピュレータを破壊したお陰か、やはり威力は落ちているがそれでもそれなりのダメージは喰らう。
けれど、それは相手も同じこと。
どういう理屈かは分からないが、男もマイクロマニピュレータなしで一方通行に攻撃するとダメージを負うらしい。
ほんの僅かだったが、引き裂かれた傷口が悪化していた。

だが、それでも一方通行の劣勢は変わらない。
一方通行は漸く男の両手にダメージを与えることができただけなのにも関わらず、彼は気絶寸前だ。
少しでも気を抜けば、今にも倒れてしまうだろう。

これは彼自身の責任ではないのだが、ただでさえ多くはない体力が病院生活で更に低下しているのが祟ってしまった。
流石に、これ以上ダメージを負うのはまずい。

「しっかし、ひどい弱体化具合だ。『反射』もそうだが、出力もガタ落ちしてやがるな。以前の十分の一もねえとは。
 こんなんで『実験』なんか続けられんのかねえ」

「オマエ、は……」

「記憶喪失前のお前なら、この程度軽くあしらえただろうに。ひでえ話だ」

「……知ってるのか。俺のことを」

「……ああ。大人しくついてくる気があるってんなら、教えてやっても良いけどなあ」

「却下だ。誰が、オマエらなンかに……」

「そうかい。ま、今のお前の意志なんか関係ねえ」

言い終わるが早いか、男が凄まじいスピードで接近してきた。
しかし、一方通行も素早く地面を蹴ってそれを回避する。空を切った拳を見て、男が小さく舌打ちした。

だが、このまま戦いを続けるのはあまりにも無謀だ。
そこまで戦闘慣れしている訳ではない一方通行ではあの男を倒すのは難しいだろうし、そもそも体力がギリギリなのでこれ以上戦っていられない。
よって、この場で取るべき手は一つ。

(柄じゃねェが、逃げるが勝ち!)

こちらの様子を窺っていた男を完全に無視して、一方通行は能力全開で逃げ出した。
速度ではあの男には劣るが、建物の上まで行ってしまえばこっちのものだ。
流石に高低差までは男も対応できないし、他の武装兵たちによる遠距離攻撃では彼にダメージは与えられない。
ちらりと背後を振り返ってみれば、あの男がこっちがビックリするくらい呆けた顔で自分を見上げているのが見えた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/1072.87 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice