過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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475: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2011/02/15(火) 19:54:14.57 ID:2woxd/9Lo

結局、あれから一方通行を見つけ出すことはできなかった。
けれどなかなか諦めることができなかった所為で、捜索を中断したのはだいぶ辺りが暗くなってしまってからだった。

……時刻は、既に八時過ぎ。
当然、完全下校時刻はぶっち切ってしまっている。

しかし遅くなっても構わないということだったので、上条は今更ながら小萌先生の家へと向かっていた。
小萌先生から貰った地図を頼りに夜の学園都市を彷徨っていた上条は、
持ち前の不幸でもって迷いに迷った末に、漸く小萌先生の自宅へと到着する。

「……ここ、か?」

だが、やっとの思いで目的地に辿り着いた上条を迎えたのは、見るも無残なボロアパートだった。
これなら上条の学生寮の方が何倍もマシ、と断言できる程の年季の入りようだ。

(確かに公務員の給料は削減する方向って聞いたが、流石にこれは……。よっぽど金遣いが荒いのか?)

しかし、それはあの教師の鑑と言うべき小萌先生からはかけ離れた人物像だ。
うっかりそんな想像をしかけてしまった上条はぶんぶんと頭を振ってそれを掻き消すと、小萌先生の部屋の呼び鈴を鳴らす。
するとわざわざ待機していてくれたのか、小萌先生はすぐに扉を開けて上条を迎え入れてくれた。

「いらっしゃいなのですよー。すみませんね、こんな時間にわざわざ来てもらっちゃって」

「いえ、大丈夫ですよ。こっちの用事に手間取った所為ですし」

申し訳なさそうに言う小萌先生に笑顔で返していた上条だが、小萌先生の家に入った瞬間にその表情が凍りついた。
そんな上条の表情を見て、小萌先生は恥ずかしそうに身体を縮こませる。

「す、すみません。これでもだいぶ片付けた方なんですけど……」

「……い、いや、あはは。でも一人暮らしってこんなもんですよ、うん……」

何とか取り繕おうとするが、上条は室内の惨状を見て顔が引き攣っているのが自分でも分かった。
しかし、上条がそんな反応をしてしまうのも無理はない。
何故なら小萌先生の部屋は、およそ彼女の外見からは想像できないほどに荒れ果てていたからだ。

煙草の吸い殻の詰め込まれたビールの空き缶がいくつも転がり、ハズレ馬券と思しき紙切れが無数に散乱している。
これではまるで、タチの悪い酒飲み親父の家だ。……テレビドラマでも見たことが無いようなレベルの。

「そ、そんなことより! 上条ちゃんに来てもらったのは、これをお渡ししたかったからなのです」

「? 何ですかこれ」

悲惨な室内をまじまじと見つめられることに耐えられなくなったらしい小萌先生が、ずいっと白くて大きな箱を差し出した。
上条は、この箱に見覚えがある。結構最近目にしたものだ。



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