過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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490: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2011/02/20(日) 00:36:33.80 ID:k31JosIBo

「…………!」

廃ビルの一室で眠っていた御坂妹は、驚いてがばっと飛び起きた。
しかし周囲を見回せば、そこは眠った時と寸分違わぬ静かでひんやりとした灰色の部屋。昨晩と全く同じ、何も変わらない。
壁際では、御坂妹の持って来た毛布に身を包んで眠っている一方通行の姿もあった。

それを見て、御坂妹は漸く平静を取り戻す。
そして彼女は鞄の中に入れておいたタオルを取り出し、僅かに伝う汗を拭った。
大した発汗もなく息切れも起こしていないので見た目には何とも無いように見える彼女だが、心臓はばくばくとしている。
彼女は、胸に手を当てて鼓動が収まるのを待った。
やがて鼓動が穏やかになってくると、彼女は被っていた毛布を剥ぎ取って一方通行の眠っている場所へと歩いていく。

そして一方通行の目の前までやって来た彼女は、その場に座り込んで未だ眠り続けている一方通行の顔を覗き込んだ。
寝息を立てている。動いている。生きている。何も、問題ない。

(……それにしても珍しい夢でした、とミサカは暢気な感想を述べます)

御坂妹はそもそも夢自体、滅多に見ることは無い。
だと言うのに、たまに夢を見たと思ったら、これだ。……気分が悪い。
もう二度と夢など見たくないな、と彼女は思った。

(時刻は……、13時32分ですか。明らかに寝過ごしてしまいました、とミサカは目覚ましを掛け忘れたことを後悔します)

……一方通行の護衛の為にミサカネットワークを駆使して彼を捜索していたにも関わらず、こんなところに隠れられていた所為で見つけるのに手間取ってしまった。
しかしそれ以上に、昨晩は事後処理や諸々の作業に追われて非常に忙しかった。
恐らく、御坂妹も一方通行と同じで疲れが溜まっていたのだろう。
とは言え、今のところこれといってやるべきことはない。今はただ、ここでこうしていることしかできないのだ。

御坂妹は小さくため息をつくと、再び一方通行の顔を覗き込む。
もうずっと見つめ続けているというのに、飽きないのだろうか。
彼女は暫らくそのままじっとしていたが、やがて観念したように一方通行がもぞりと身動ぎした。

「……オイ、いつまでそォしてるつもりだ?」

「おや、起こしてしまいましたか、とミサカは申し訳なく思います」

「最初っから起きてた。オマエが突然目の前に来たから起きづらかったンだよ」

「そうでしたか、それは申し訳ありませんでした、とミサカは謝罪します」

御坂妹が目の前から退くと、彼はすっくと立ち上がって少しだけ汚れの付いてしまった服をはたき始めた。
はっとして、御坂妹も自分の服装を見下ろす。
制服のまま毛布にくるまって眠っていた所為で、ブラウスもスカートもくしゃくしゃになってしまっていた。
流石にこれではみっともないので、御坂妹は必死になって服の裾を引っ張って皺を伸ばそうとする。

「服の替えはねェのか?」

「あるにはありますが、あと一着しかないので無駄遣いはしたくありません、とミサカは倹約を宣言します」

「あァそォ……。つっても、ソレじゃ外に出れねェだろ」

「だから今こうして一生懸命引っ張っているのではありませんか、とミサカは引き続き人力アイロンを実行します」



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